10時30分頃、空は厚い雲に覆われていて見えないかと思っていると、15分ほどして雲の切れ間から見えて来た。 福岡から見える“部分日蝕”のピークは10時56分 専用のサングラスでは無く普段使いのサングラスをかけてあたりを伺うと、みんな見上げている。 隣の床屋のおばちゃんが「それ専用のメガネ？」と、「いやいや」とツッコミを入れるけど独りでウケていた。 雲の薄くなった部分がちょうど強すぎる太陽の光を遮って、それ専用じゃないサングラスも手伝い、見えた。 時計は10時56分をさしていた。
太陽はきれいな三日月状になっていた。 それから15分程空を見上げていた。 普段、そんなに空を見上げることは無い、いつも見上げる高さよりさらに上に鳥が飛んでいる。 その向こうに黒い雲、そのまた向こうに白い雲、そしてずっと向こうに月と太陽。 狭い商店街のアーケードの隙間から、自分の車にもたれてそれを見ていた。
明日は皆既日食だとmixiのブログに書いたら、タクって奴のコメントで「月の前に顔出します！！」ってのを思い出すとかなりウケた、「なんでやねん！」って言いたくなる。 誰かウケそうな奴を想い浮かべてみるとわかる。
黒い雲の流れは早く、たまに雲の切れ間に直接見れることもあったけど、まぶしすぎて見えない、当たり前のことでも太陽の光ってめちゃくちゃ強い。 まぶしくて顔をおろす。 目に残光が残ってあたりがよく見えない。 きょろきょろしていると、普段よりたくさんの人がいることに気づく、挨拶を交わして「見える？」って。 普段の挨拶に「天気良いね〜」とか「今日は風が強いね〜」とか、天気の話が入ることを思い出すと、そう言うことかとなぜか納得する。 普段話さない人と話し貴重な時間を感じた。 見慣れないお姉ちゃんが歩いている、目を奪われるが、見えない。
頭をうなだれ地面を見ると、かなり近い。 地面が近くて、それが地球だと感じた。 いやホント感じた、立っている気がした。 もう一度二度見上げて、その位置関係を感じてシンクロしてみる。 なんとも知れない複雑な気分になる。 同時に自分の存在を考えだした、生かされているなと。 その辺はさておき、残光の残る目も気になって、集中力もなくなって来た。
太陽を見たまま目をパチパチと瞬きしてみた。 三日月の残光が無数に目に残る。 さらにパチパチ、パチパチ。 すげー三日月の残光万華鏡。 しばらく目を瞑って日食模様を見ながらいろいろなことを考えていると、時の流れを感じた。 太陽も最初の位置より少し西側に動いて、地球は回っていた。 太陽に合わせて生活することに憧れている。 時間を感じて我に返り、仕事に戻った。 時計は11時20分をさしていた。
